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2018年3月9日金曜日

どんなに鍛錬しても弱くなることがある その2

前回の続き。
http://susumutakenaka.blogspot.jp/2018/03/blog-post_7.html

ちなみに前回記事のような対話形式の文章は面倒なのでいつもの文体に戻します。
あとここからは麻雀をメイン題材にして話を進めます。だって麻雀プロのブログだもんw

さて改めて、
何故「一生懸命勉強して練習しても弱くなる」という事象が発生するか、このメカニズムについて。
これには大きく3つの理由がある。
以前に書いた日記の内容と思いっきりかぶる部分もあるので引用しながら進めます。

理由1:
アナログゲームには絶対的な正解がそもそも存在しえない。
http://susumutakenaka.blogspot.jp/2016/12/blog-post_28.html

アナログゲームの特徴は「異なるベクトルの情報を総合して判断する」という点にある。
例えば麻雀では「打点」「スピード」「持点」「巡目」「相手」
一つ一つが大事な要素である一方、各ベクトルが違うがゆえにすべてを画一的に判断ができない、つまり「トータルでの絶対的・数値的な正解」というのは存在しえない。
打ち手にできるのはあくまで「適度なバランスをアバウトな感覚で見極める」、これが限界。
「最適解」なんてものがそもそも存在しない。これがまず大前提である。

が、
仮に麻雀に神様がいるとして、
実は麻雀には「絶対最適なバランス=最適解」が存在するとして、
神様にはそれが解っている、
と仮定しよう。

そして人間は常にその最適解を模索して研究をしてる、とする。
たとえば以下の図だと、最適解に近いAさんが強くてBさんは弱い、となる。






そしてAさんはどんどん最適解に近づいていく、、、
としても絶対にそれにたどり着くことはできない。正確に言えばたどり着いても一瞬で離れる事になる。

それが理由2:
最適解があったとしても常に変動している、という点にある。
http://susumutakenaka.blogspot.jp/2017/01/blog-post_85.html

上記事にもある通り、
対人のアナログゲームは結局「相手の取る戦術」で有効戦術が変わる。
将棋で言えば「藤井システム」が出来た時には最強戦術として猛威をふるったが、しばらくすれば対抗手段が研究されまた全体戦術バランスが変ったように、常に「最適解」は変化しているわけだ。
ましてや麻雀は卓上の3人の傾向でその最適解が変動することを考えると、それをとらえるのはもはや不可能である。

このようなイタチごっこは永久に終わらない。
それどころか図のBさんのようにあまり打ち方を変えてない人が突然最適バランスに近くなるケースすらある。

そして理由の3つ目:
人間は常に変動している事、つまり「一定」でいるのは不可能、という点

これを自覚をしていない人は多いが、人間の思考というのは絶対にぶれる。
理由は単純。人間だから=有機体だから。

たとえば人間の髪、爪、皮膚はたえず新陳代謝を繰り返している。
そしてこれは体内の細胞、脳細胞も同様である。
人間は数年たつとすべての体細胞が一新される、という説が示す通り、
そもそも物理的に同一でいられないという前提がある。
そんな有機体が上記のようなアナログゲームで常に自分を「一定」とするのがそもそも不可能なのである。


つまり麻雀に最適解があるとして、
それに対して研究をして追い続けいつかキャッチができたとして、
最適解が不動の物だったとしても、
人間故にすぐにそこを離れてしまうのである。

鍛錬を積んだ打ち手ほど常に最適解に近い位置取りをキープはしている事は多いが、時にその距離は離れ、時に近づき、絶対にピタリと一致することはない。
言うなら強い麻雀打ちとは最適解のまわりをぐるぐる回り続ける衛星みたいな存在なわけだ。
それも中心となる存在自体が常に動いているとなると衛星の衛星と言える。
そう書くとなんか切ない存在w


最後に
前記事で触れたように、将棋界にて歴代最強の一人と目されている渡辺明ですら弱くなる時期があるのが現実。(いやまあ実際に弱くなってるかはわからないが)
いうなら結局この手のアナログゲームのプレイヤーはいつかかならず実力的なスランプにおちいる運命にあるといえる。

そもそも「努力した分だけ強くなる」というの中級者以上には当てはまらない。
強くなる時もあれば弱くなる時もある、努力して「良い方向」へ持ってくことはできても「絶対」ではない。
昔とある後輩に「数年前より弱くなってる」と言ったら、ブチ切れられた事がある^^;
本人は「努力をしてない」と言われたと思ったのだろうが、
僕からすりゃ「努力してれば弱くなることはあり得ない」という考えがそもそも無い。
その事実を受け入れて長い時間かけて自分の実力も精神もメンテナンスし続ける事が必要だと思うわけで。

まあ競技麻雀は特に実力と結果の因果関係が薄いと考えると、その能力は尚更大事だろう。
そして「渡辺明ですら直面している現実に、あなたが直面しないなんてあるか?」
という点を多くの打ち手は問いかけておきたい次第である。


最後に改めて、
渡辺先生が来期以降に復活するのを将棋ファンとして心待ちにしてます!
特に今話題の藤井6段がこれから将棋界をさらに席巻していくとしても、
羽生さんにとって谷川さんがいたように、
渡辺さんにとって羽生さんがいたように、
大きな壁としてライバルとしてそびえたつ姿をファンは見たい!
まあこんな社会の末端の麻雀プロのブログなんぞ先生が読みわけはないが、エールが届いてほしいと思う次第。