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2017年6月21日水曜日

麻雀も人狼も関係ない雑学話 その4:一流選手の引退について考える

史上最年長棋士の加藤一二三先生がついに引退。

http://www.huffingtonpost.jp/2017/06/20/hifumi-kato-legend_n_17218268.html

今年の引退決定時にも記事で書いたけど
史上最多対局、史上最多敗戦はもちろん、
多くの史上最年少記録、そして史上最年長記録の両方も持つ大棋士の競技人生に今あらためて幕がおりたわけだ。

さて改めて加藤先生の将棋人生についてちょっと振り返りながら以前も書いた「引退」ってやつについて改めて考えてみた。

加藤先生はA級在位36期という歴代2位の大記録を持っている。
これは中原・谷川といった一時代のトップをも上回る数字であり、超一流の証明と言っていいだろう。

でも現役晩年は年齢と共に徐々にリーグも陥落し、最後は一番下位のリーグでも戦い続けた、
その結果が数々の歴代最多、最年長記録になっているわけだ。
そしてこのケースはどの競技をみても結構稀と思える。

大体の超一流選手はピークを過ぎると引退を決断する方が多い。
将棋で言えばA級陥落を機にフリークラス宣言をした森内、故米長永世棋聖が良い例だろう。

野球で言えば日本プロ野球史上唯一の400勝投手である金田正一、
「誰もあなたが打たれるのを見たくはない。なぜならあなたは金田正一だからだ」
という石原慎太郎の言葉を受けて引退を決意したという。

このファン心理は結構共感できる。
僕は格闘技が結構好きだが、
かってPRIDEで無敵を誇ったエメリヤ・エンコ・ヒョードルが現役最晩年に連敗をした時「負ける姿を見せ続けるより引退して欲しい」と思ったし、
K1の豪腕マイク・ベルナルドが力の衰えにより最後は日本人相手のかませ犬になってしまっていたのは見てて心苦しかった。
ファンとしては「強いまま引退して欲しい」と多少なりとも思うわけだ。

一方で選手には選手の気持ちや事情があるケースも存在する。
有名なのはボクシングにおける伝説のチャンピオン、シュガー・レイ・ロビンソンの逸話だろう。
20,30代では無敵の強さを見せたロビンソンだったが40代になると力の衰えは隠せずかっての格下にも負ける試合が続いた。
だが一方で全盛期の派手な散財、事業投資の失敗などが祟り、彼にはリングに上がるしか稼ぐ方法、生きる術がなかった。
そんな中、かっての栄光を知る評論家が「ファンの為にも引退するべき」と言ったのに対してロビンソンは、
「彼らは私に一杯のコーヒーも奢ってくれたことはない。私は自分の生活のために闘うのだ。彼らの思い出のためにでなく。」と反論したのである。
一流選手に対するファンの求める姿と現実のギャップが浮き彫りになった有名な例だろう。

さて最後に再び加藤先生のお話に
先生はとにかく現役にこだわった人だった。
超一流とよばれた男が最晩年はすさまじいくらいの連敗をしても戦い続けた理由、
記録に対するこだわりもあっただろうが、
そこにあったのはやっぱり競技に対する愛だともおもうわけだ。
「強いまま引退して欲しい」という美しい姿を求めるファンは多いが、
先生が限界まで戦った姿はそれよりさらに美しい姿だったんじゃないか、とか改めて思ったりするわけである。

加藤先生、
本当に本当にお疲れ様でした!

僕も引退する時はそれくらい限界まで戦ってみたいなあ、とか思ったりもしたが、
麻雀プロって別に引退規定ないんですよね。
やりたきゃできるんですよ。
というか会社員プロを長く続ける人って要するに独身の暇人のケースが多いわけで
・・・・・(--;)